こんにちはウォッチコンシェルジュの木村です。
今回は2018年新作 ロイヤルオーク オフショア・ダイバー ファンキーカラーのベージュ“SAND BAFF”をご紹介いたします。
ロイヤルオーク20周年モデルとして発表される予定だったオフショアは1993年に発表され今ではバリエーションに富んだシリーズになります。
そのオフショアシリーズのダイバーの歴史を紐解きます。
ロイヤルオーク オフショア ダイバーの原型は2006年にブティック限定モデルとして販売されたオフショア・スクーバ(Ref,15701)まで遡ります。針とインデックスのオレンジカラーが目を引き、文字盤外周のサークルにラウンドのギョシェが施され、その上にアラビア数字のインデックスがプリントされています。回転インナーベゼルを搭載しながらも防水表記はなくISOに準拠したダイバーズウォッチではなかったようです。
ISO【 International Organization for Standardization 】 国際標準化機構とは、産業分野の国際標準を定める国際機関の一つ。本部はスイス・ジュネーブ。世界160ヶ国以上が加盟している。
Cal,3120
それでは現行品のムーブメントをご説明いたします。
2003年に発表されたCal,3120はジャガールクルトとオーデマピゲが協力して製作されたCal,889をモデルにパワーリザーブが60時間に延び緩急針からフリースプラングのテンプに変更され精度も向上しています。
ローターの外周に比重の高いゴールド素材を採用し、2004年にはローターのベアリングをステンレス製からセラミック製に変更する事で更に巻き上げ効率を改善しています。
高い基礎体力と強固な骨格を持つこのムーブメントはオーデマの基幹機として使われています。パテックのCal,324でさえ石数29個ですがオーデマのCal,3120の石数は40個ものルビーを使用しています。このルビーの数により摩擦係数が少なくなりパワーリザーブが長くなった一つの要因だと考えられます。
その後2010年に満を持してオフショア・ダイバー(Ref,15703)を発表、耐磁インナーケースを内蔵しISOに準拠したダイバーズウォッチへと進化しています。アラビア数字からバーのアップライドインデックスに変わり時分針を太い形状に変更した事により水中での視認性を確保しています。
2014年には現行品の(Ref,15710)が発表、対磁インナーケースが取り除かれ、裏蓋がシースルーバックになりCal,3120の素晴らしい手作業によるムーブメントの仕上げと精巧な動きが堪能できるようになりました。
長い時間をかけて試行錯誤しながらも一つのモデルを熟成させ、より高みへと革新を続けるオーデマピゲの時計製造への情熱が伺えるモデルです。
オフショアと言えば文字盤のメガタペストリーが有名ですが、以前はエンボス加工後に厚いラッカー仕上げを施されていたものが、現行品ではきわめて立体的な造形を得ながらきちんとエッジが立った仕上がりを持ち。下地の繊細な処理を生かすべく薄いメッキ塗膜の厚みは文字盤製造に長けたオーデマピゲならではの仕上げになります。
名前の通りファンキーカラーシリーズはファンキーな目立つ色が多い中、こちらのベージュは落ち着いたテイストでオフの時には爽やかにお着けいただけます。
個性的なアイテムは、人とは違う自分の個性を大切にされる方の手元でこそ輝きます。
色が変わるだけで雰囲気も空気感も変わります。
ご興味がある方は是非、実機を店頭でお手に取ってご覧くださいませ。
オーデマ ピゲのSIHH撤退について
オーデマピゲは、リシャール・ミルの発表から3時間と経たないうちに、同様に2019年以降SIHHへの出展を取りやめることを発表しています。
スイスのル・ブラッシュに拠点を置くオーデマピゲは見本市への参画は19年に渡るものでした。同社もリシャール・ミルと同様にビジネスモデルの変化による決断だと発表しています。
「オーデマピゲのビジネスモデルは、変化しており、スイス本社のメーカーとエンドユーザーである顧客とのより直接的な関係を築き、世界中の愛好家と向き合うための新たな方向性を模索することを決めました。」と発表されています。
老舗と言われる歴史ある各時計メーカーはブランディングがとても上手ですので、今後の展開が気になる所です。
参考資料:クロノス日本版
【2018年新作】
オーデマピゲ
ブティック限定
Ref: 15710ST.OO.A085CA.01
素材:ステンレススティール
ケース径:42㎜
防水:300M防水