オーデマピゲ ミレネリー

こんにちは、ウォッチコンシェルジュの木村です。
今回はオーデマピゲ、ミレネリーをご紹介いたします。

複雑時計専門 ムーブメントメーカー【AUDEMARS PIGUET】

複雑時計の揺り籠、ジュウ渓谷

スイス高級時計制作の中心地でもあるジュウ渓谷は、ジュネーブの北、ジュラ山脈に囲まれた荘厳な美しさをたたえた岩地です。ジュウ渓谷の天然資源 – 特に森や水、氷、そして鉄鉱石を含んだ岩が、時計産業の発展・繁栄の素地となりました。澄んだ夜空の鮮やかな眺めを楽しむことができるこの雄大な手つかずの大自然は、時の経過・天体の動きを実際に体現出来ることで素晴らしいインスピレーションを与えてくれます。

 

ジュール=ルイ・オーデマとエドワール=オーギュスト・ピゲ、彼らは1875年にル・ブラッシュこの地に工房を設立しました。ジュール・オーデマはムーブメント開発に専従し、広がる天空の世界をわずか数センチの中に表現します。パーペチュアルカレンダー・ミニッツリピーターを得意とし1951年以前には、すべての製作時計がユニークピースでした。数々の名機を世に送り出し、洗練された技法で細部を限界までこだわり、時計に芸術的な生命を吹き込んで真に卓越した唯一無二のアート作品を作り出すという、情熱と全ての技術を詰め込んだ時計を製作していきます。時計製造発祥の地、ジュウ渓谷のル・ブラッシュに設立されて以来ずっと一族経営が続けられています。

ル・ロックルの小さな町にあるルノー エ パピは、出身母体との協力関係を強め“オーデマ ピゲ・ルノー エ パピ”となり、複雑時計の頭脳集団としてスイス時計界を牽引しています。

 

出典:https://www.audemarspiguet.com/

1899年に販売された「ユニヴェルセル」として知られる懐中時計は、パーペチュアルカレンダーやミニッツリピーター、グランド&プチソヌリに30分積算計搭載クロノグラフ、リセット機構付きの5分の1秒フドロワイヤントやスプリットセコンド、デッドビートセコンドなど、当時の複雑な機構を詰め込めるだけ詰め込んだ非常に革新的な懐中時計でした。創業当初から続く超複雑時計開発の分野においてスイスで屈指の地位を確立。

パテック・フィリップ(PATEK PHILIPPE)、ヴァシュロン・コンスタンタン(VACHERON CONSTANTIN)と並び、世界3大時計ブランドと称されている。

 

ミレネリー4101

2000年のミレニアムイヤーに登場して以降、ラグジュアリーなデザインとしてオーデマ・ピゲの基幹モデルに名を連ねる「ミレネリー」。横に大きく広がった滑らかなオーバルケースはローマの「コロッセオ」(円形闘技場)から着想を得たとされています。2011年発表「Cal.4101」を搭載。この特徴的なケースに、表裏をひっくり返したように設計された自動巻きムーブメントは日本人時計師である浜口尚大氏が手掛けています。独創的な三次元空間を見事に演出したオフセンターの文字盤から、脱進機の立体的な動きを存分に堪能できる。ジャイロマックステンプを搭載し、より高度な精度にこだわりを感じさせます。

 

Ref,15350OR.OO.D093CR.01

素材:18Kピンクゴールド

サイズ:47mm×42mm

防水:日常生活防水

 

ミレネリーデッドビートセコンド

ミレネリー4101元のデザインとなったのが2007年発表のこちらのモデルです。

 

 

AP脱進機

Cal,2905では2つのヒゲゼンマイが上下、180°反対方向に設置されたダブルバランススプリングシステムを採用している。大きな利点がヒゲゼンマイのバランスの欠点を補い合い自動的に調整します。テンプが縦姿勢にある時の引力による影響を補正し、従来の2倍近い毎時43,200振動のスピードによって、予想を超える高精度と安定性をもたらしました。

 

 

 

新しいダイレクト ドライブと言うシステムを発明し技術的にも従来の脱進機比べて数々の優れた点を有します。独特の上記構造により潤滑油の塗布が不必要になり、大きな衝撃を吸収する安全性を備えており更に公箱のトルクが直接テンプに伝達されるためトルクロスが少なく、トルク効率が約20%向上しています。5年間にわたるテスト結果により、高い精度での長期間安定性を維持します。

 

デッドビートセコンド

7時位置に配された秒針は1秒ごとにジャンプするデッドビートセコンドです。オーデマピゲ独特の構造を持ちアンクルでシンクロするシステムにする事でエネルギーの損失を最小限にとどめています。平行に設置されたツインバレルの稼働期間は9日間です。香箱のブロックシステムが稼働期間を最もトルクが安定する7日間に凝縮する事により高精度を保証します。

Ref,26091OR.OO.D803CR.01

素材:18Kピンクゴールド

サイズ:47mm×42mm

防水:日常生活防水

 

創業144年間の独立経営

勿論時計好きにファンも多いですが、オーデマピゲは経営者の方達にも多くのファンを持ちます。

その理由は、オーデマピゲは1875年の創業以来、今日まで144年もの間、創業一族で健全な経営を続けている事にあります。独立経営を貫く硬骨さは、資本の論理に左右されない独創的な腕時計造りを可能にしてきました。

1969年セイコーの発明したクォーツで、スイスの時計業界はクォーツショックが起き、壊滅的とも言える状況に陥ります。10年で3分の1近くまで会社が倒産し減少したと言われています。スイスのメーカーはそれまで培ってきた伝統的な機械式時計の製造に見切りをつけてクォーツ時計へとシフトするか、機械式時計のノウハウで新しい打開策を講じるかの岐路に立たされました。その結果、業界を再編しグループ化する事により資本を安定させる道を多くのブランドが選び、クォーツ時計を発表する事となります。

オーデマピゲはクォーツショックの3年後、1972年にジェラルド・ジェンタ作 世界初のラグジュアリースポーツウォッチ『ロイヤルオーク』を発表する事により、時計業界での地位を不動のものとしました。

このストーリーから、一族経営をしている同じ境遇の方達から、買収されない・経営を続ける等の意味合いの験担ぎとしてオーデマピゲの時計を愛用されている方が多いのです。

また、日本は世界で群を抜く「老舗企業大国」であり創業100年を超える老舗企業が、10万社以上あると推定されています。西暦578年に設立された創業1,441年の建築会社「金剛組」もあり世界最古と言われています。

「伝統は革新の連続」という言葉がありますが、時代の波を乗り越えて革新を続けてきた企業が、老舗として今も続いています。

この事からもオーデマピゲの時計が日本人に好まれるのも容易に理解できます。

SIHH(ジュネーブサロン)を来年から撤退し、業界をリードし続けるオーデマピゲは、私達日本のエンドユーザーに対してどんなアプローチを仕掛けてくるか、今後も楽しみですね。

 

 

 

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