新たな時代を切り開く剣

 

ノーチラスRef.3800のご紹介です。

本年も残す所数日となりましたが、多くのお客様にご愛顧いただき深く感謝申し上げますと共に来年も変わらぬご指導、ご鞭撻の程よろしくお願い申し上げます。

新年は2021年1月5日(火)11:00~18:00の営業時間となります。

 

Nautilus

 

1976年に発表されましたスポーツモデル 初代ノーチラスRef.3700(通称ジャンボ)は、当時クォーツショックの影響を色濃く受けていたスイスの時計業界で生き残りをかけてパテックフィリップが発表した、初ステンレススチール製のスポーツウォッチです。

 

発表から数年後には会社の軌道を変えるまでに成長していきます。近年海外での評価が高くなりコレクターの中でもRef.3700とRef.3800は再び注目を集めています。

 

 

80年代初頭以降、ノーチラスコレクションは、初代オリジナルのRef.3700、ミドルサイズのRef.3800、クォーツ駆動のRef.4700と3つのモデルを柱に展開していきます。Ref.3800は初代ノーチラスの最初の進化形となります。当時は今よりもより控えめなサイズの時計が好まれていましたので、Ref.3800は42㎜のRef.3700をサイズダウンさせたのは容易に想像できます。

 

またRef.3800は、Ref.3700用の文字盤も製造したスターンクリエーションズによって製造されています。Ref.3700と比較した時に、文字盤のこの多様性は、Ref.3800が、より幅広い好みに適したオプションを提供することにより、ジェラルドジェンタ氏が描いたノーチラスデザインをスポーツやカジュアルな時計としてより多くの若い世代へ届けようとするパテックフィリップの試みを表したことを示唆しています。

 

1981年に発表されたRef.3800はその年は特別なクライアントだけが購入する事ができ、カタログには翌1982年から掲載されます。

発売当時のRef.3800はRef.3700よりも定価が高く設定されています。この価格差は、Ref.3800では秒針表記が加わり、ムーブメントが3針になった事で販売価格が高くなったと推測できます。Ref.3700の市場価値がRef.3800の市場価値の数倍である今日、これはかなり驚くべき事実です。

 

【発表当時のドイツの参考定価】
Ref.3800 / 1Aは7,500DM($ 3,000)ステンレススチール製
Ref.3800 / 1AJは15,150DM($ 6,060)18Kイエローゴールド&ステンレス製
Ref.3800 / 1Jは29,950DM($ 11,980)18Kイエローゴールド製
※DMとはドイツマルク

 

「Aは「acier」の略で、フランス語で鋼を意味します」
「Jは「jaune」を表し、フランス語で黄色やイエローゴールドを指します」

 

今の為替で計算すると考えられないような金額ですが、当時ゴールドは非常に価値が高くコンビやゴールドの価格が現行時計の価格差よりも大きくなっています。

 

文字盤のシグママーク

 

6時に位置にある表記に関して、「σ・SWISS・σ」とギリシャ文字のシグママークが両サイドに記載されます。記載されたシグママークは、文字盤やインデックスに金を使用していることを示しています。

 

【l’Association pour la Promotion Industruelle de l’Or】略してAPRIOR

 

スイス時計製造業界に深くかかわっていたAPRIORは、金の工業用分野への使用拡大を目的として結成され、シグママークに関する条約を1971年に制定します。制定以前にも既にシグママークの文字盤は製作されていました。この団体に加盟したメーカーは条約に基づき、金素材を使用したダイヤルにシグママークを明記する事が許され文字盤にシグママークが表記されます。その時計が貴重な素材が使用された高級品の証としていたのです。定かではありませんが2000年頃に団体が無くなり、以降シグママーク表示の文字盤が製作されなくなります。

 

今では一部のメーカー (パテックフィリップやロレックス、ヴァシュロン、IWC等) だけがシグママークの採用を許されていたという事実と限られた期間のみの製造になるためシグママークが入った文字盤を持つ個体の希少価値が高まっています。

 

APRIORの活動時期を考えると、クォーツショックが起きてスイスの時計産業が影響を受けた時期と重なります。ハイブランドの先駆者達は日本製品の時計との差別化を図ろうとしていたのではないでしょうか。2000年と言えばスイスの高級時計市場は見事に復活し世界のラグジュアリー市場を牽引しています。比べて日本の時計市場は、今でもクォーツを作り続け、スイスの時計産業とは比較になりません。

 

 

視認性を確保する為に、ゴールドの文字盤とフルダイヤモンドの文字盤にのみ秒針が黒く塗装されています。

 

Cal.330SC

 

Ref.3800には大きく分けるとCal.335SCとその進化形のCal.330SCが搭載されています。1992年以降、Cal.330SCが使用されます。ジュネーブシールを取得し振動数を21,600 A / hに落としています。

 

※335SC(28,800振動)⇒330SC(21,600振動)に変更されています。48時間のパワーリザーブ。

 

 

クラスプ部のパテックフィリップのマークもヴィンテージ感が漂う18Kのカラトラバ十字です。

 

Ref.3800

 

初代ノーチラスが発売開始された5年後に誕生したノーチラスRef.3800。1981年~2005年までリリースされていました。パテックフィリップの中でも24年間生産されていたロングセラーモデルです。センターセコンドの自動巻き「330sc」ムーブを搭載したミディアムサイズの37.5mmケース。一見小さく感じられるかもしれませんが、スーツなどフォーマルな時には7.5mmという厚さがYシャツに納まりもよく、しなやかなブレスレットが手首に心地よくフィットします。日付表示がある為、日々のビジネスシーンでの活用も期待できます。

 

Ref.3800の非常に優れている点は、絶妙なケースのサイズと厚さ、防水性能と装着感です。稀代の時計デザイナー ジェラルドジェンタの設計は素晴らしく極薄で、2ピース構造の為、120mと防水性も高く実用性にも優れています。
是非、ご興味ございましたらお問い合わせ下さいませ。

 

今ではヴィンテージウォッチは、細かな仕様や表記の違いが大きく注目されることが多いですが、真贋やカスタマイズ品も実に巧妙になってきています。
購入される際はお客様自身でも慎重にお選び下さいませ。

 

PATEK PHILIPPE

ノーチラス
Ref.3800/1JA-001
素材:18Kイエローゴールド&ステンレス
ケースサイズ:37.5mm
厚み:約8mm
防水性能:120m
パワーリザーブ:48時間

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